“bánh mì” バインミー

“bánh mì” バインミー

2015.12.06

art & river bankのイヴェント“テント村#05”に参加。
私たちのテントは、ヴェトナム・サンドイッチ“バインミー (bánh mì)”と題し出展。

バインミーとは、ヴェトナムの軽く空気を含んだフランスパンにパテ、ハム、生野菜、香草、なますなど色々な具材を挟んだサンドイッチ。19世紀末のフランス植民地時代にもたらされた、西洋のパン食文化とアジア食材とが融合し、更に進化した食べ物です。

今回“テント村#05”に参加するにあたって、都内にあるいくつかのバインミー屋巡りをしました。tavola apertaのメンバーである秋山が、ヴェトナムの現地屋台でバインミー巡りをした経験と比較しながら、この企画の準備をしていきました。また、前回実施したリサーチツアーでリトルサイゴンとも呼ばれる「いちょう団地」を訪ね、周辺の食材店、食堂、レストランを巡る”バインミー”の調査&食材買い出しを行いました。
当初はヴェトナム食材や食堂などをメインに調査することをイメージしていましたが、多国籍団地としても有名なそこは、ヴェトナム人だけでなく、中国、ネパール、カンボジア、ブラジルやペルーといったさまざまな人々が混在し、共生するコミュニティでした。その場所にすっかり魅せられた私たちは、当初のプランを少し変えて、自分たちが実際に見聞きしたことや感じたことなどを“バインミー”を介して表現することにしました。

“テント村#05”の展覧会期間中にバインミーを作り、アジアの露天にあるような簡易カウンターを設置し一日限定で販売。そこを訪れる人々とバイミーを食べながらディスカッションすることに。
今回、最もこだわったのは、バインミー用フランスパン。いちょう団地のヴェトナムスーパー&食堂の“タンハー”で予約購入したものです。そのパンを使ったメニューは、2種類を用意しました。
まずは基本のバインミー。具材はいちょう団地内の食材屋で厳選したヴェトナムのパテやハム、手作り紅白なます、野菜、パクチー、ニョクマム。2種類目は私たちのオリジナルバインミー。同じいちょう団地内にある、中国残留孤児のお母さんの店“大紅串店”で食べた、羊串の味を再現しトッピングしたヴァージョンです。基本のバインミーの具材やパンは同じで、ヴェトナムハムの代わりに、クミンをメインにミックススパイスで焼いた羊肉を挟んだものです。

ヴェトナムビールの333も用意、15時にイヴェントをスタート。来ていただいた方々と話をしながらのんびり・・・などと考えていましたが、用意していた15食はあっという間に完売。慌ただしくバインミー作りを終え、一息ついてからようやく皆さんとお話し出来ました。「いちょう団地」について色々質問いただいたり、今回の企画の経緯の説明や、移民の多い他の地域の事についても話が及んだりしながらイヴェントは無事終了しました。
しかし、何となく消化不良でもやもやした私たちは、翌週、“スナック・サイゴン”をひっそりオープン。来店(?)いただいた方々とビール片手にまったりした雰囲気で話しをしました。

一つの料理の由来を発端に、その背景にあるものを辿っていくと、歴史や文化が交差し、混在し、融合していった様が見えてきます。そしてそれは、人種や国も越え、今も止まることなく変化し続けるものだということを、今回の調査と実践で知ることが出来たように思いました。