“community” – いちょう団地を訪ねる

“community” – いちょう団地を訪ねる

2015.11.26

アートイヴェント “テント村#05”に参加するためのリサーチツアーを企画。

リサーチ先として訪ねたのは、境川を挟んで横浜市と大和市の両方に位置する「県営いちょう団地」。広さが東京ドーム6個分に相当する敷地を持つこの団地には、ヴェトナム、カンボジア、ラオス、中国、タイな等の東南アジア系やブラジル、ペルー等の南米系住人など、500世帯以上の外国人世帯が居住し、住人の国籍は12カ国に及ぶそうです。1980年代に中国残留孤児、そしてヴェトナム戦争後の政変によって大量に発生したヴェトナム、ラオス、カンボジア難民の一部を日本政府が受け入れ、当時、収容施設のあった神奈川県の団地に居住し始めたことが、この多文化の共生するコミュニティ“多国籍団地”の成り立ちといわれています。

今回は、いちょう団地内及び周辺を散策し、アジア系食材店、食堂、レストランを巡りながら、ヴェトナム・サンドイッチ「バインミー」の調査と食材買出しを目的にツアーを行いました。

小田急江ノ島線高座渋谷駅改札に15時集合、ツアー開始!
OKストア(大手スーパー)・・・団地に一番近いスーパー。品揃えは普通。→中国物産(OKストア上の中華雑貨食材店)・・・レジ横の壁は中国語で書かれたアパート情報や求人情報がたくさん。→よこざわアジア食品店(タイ・インド・ネパール系)・・・色々な言語のフリーペーパーが置かれていました。→シーワント(タイ・ヴェトナム・カンボジア系)・・・ハーブ、野菜、乾燥麺類、調味料や缶詰が豊富。→美樹園(中華菓子・食材)・・・中国食材、菓子、お茶など。→大紅串店(中華料理店)・・・中国残留孤児のお母さんがやっている中国延辺料理店。→金福(ヴェトナム食材店)・・・週末にローストダック(あひる)や焼き豚も売っている。→タンハー(ヴェトナムスーパー&食堂)・・・ヴェトナム食材が一番種類も多く豊富。食堂も兼ねているので皆が集い憩う場所。→SAIGON(ヴェトナムレストラン)・・・このエリアの老舗ヴェトナムレストラン。

約4時間かけて9か所の食材店や食堂・レストランを訪ねました。
団地内の標識は6ヶ国語で書かれており、住人の多国籍さが窺えるものの、平日のせいか歩いている人もまばらで、どこかうら寂しい雰囲気が漂っていました。
店の品揃えにはそれぞれ違いがあり、豊富な種類、そして値段の安さに狂喜しながら調味料やハーブなどを購入しました。
もちろん休憩を兼ねて食堂やレストランも訪問。大紅串店では中国残留孤児の帰還事業で来日し、いちょう団地で店を始めたというお母さんと、片言の日本語と筆談で話しをしながら羊の串焼き&ビール。タンハーではバインミーやフォーを頂きました。ここではヴェトナム人店主のタンさんに色々お話を伺いながらお奨めのニョクマムを購入。このお店のバインミー用のパンを購入出来ることを教えてもらい、イヴェント用に予約しました。
最後は、このエリアで一番老舗だというSAIGONで、締めのヴェトナムビール333。
いずれの店もローカル色が強く、殆ど地元客ばかり。色々な言語が飛び交う中、彼らの様子を見ていると、相手によって話す言語をいくつも使い分けている若い世代の子たちも目立ちました。世代も言語も国籍も全てが混在している中に在る複雑なコミュニティ。さまざまなものがぎゅっと凝縮されたその場所に身を置くのは、自分たちが余所人であるからなのか、旅先で感じる開放感にも似た心地よさがありました。